身元保証について(終活のテーマ)
今、一人暮らしの高齢者が増え続けています。
終活では、身元保証は大切なテーマのひとつです。
この記事では、身元保証人の役割や、最近増えている、身近に頼れる人がいない方のための身元保証サービスの選び方や注意点をまとめています。
ぜひこの記事を参考にしていただき、ご自分に合った身元保証の方法を考えてみてください。
『身元保証』とは
身元保証とは、簡単に言えば、自分の身元を第三者に保証してもらうということです。
高齢化社会が進むとともに、一人暮らしの高齢者が増えています。
東京都では世帯の半数以上が一人暮らしで、なかでも高齢者の増加が顕著です。
子供が遠方にいて気軽に身元保証の依頼ができなかったり、親族に迷惑をかけたくないという遠慮だったり、そもそも子供がいなかったりと、さまざまな理由で頼れる人がいない方が少なくありません。
そういった状況から第三者である民間業者やNPO法人に身元保証を依頼することも出てくると思いますので、依頼するとしても身元保証人の役割や内容、そして費用のこともよく理解した上で、契約をして欲しいと思います。
終活において身元保証とは、病院や介護付き老人ホーム、高齢者介護施設などへの入居の際に必要となる「保証人」や「身元引受人」となることを指すことが多いです。
そこで、終活における身元保証について以下のとおり解説していきたいと思います。
1.身元保証人の役割
まず、身元保証人の代表的な3つの役割について紹介しましょう。
(1)治療方針の決定や入院手続き
一人暮らしや老人ホームに入居している高齢者が、急な体調の変化や怪我などで医療機関を受診したり入院したりすることがあります。
その際の治療方針への同意や入退院の手続きはご自身でやらなければなりませんが、高齢者の場合適切な判断や手続きが難しい場合があります。
そのような時に心強い存在が、身元保証人です。身元保証人には病院からの呼び出しが来ることもあり、臨機応変な対応が求められます。
(2)財産の管理や経済的保証
身元保証人は、老人ホームや病院などの費用を本人に代わって管理する責任があります。
本人の口座を確認し、支払いを代行するだけでなく、本人が支払えない場合に、保証人として代わりに支払う必要があります。
(3)死亡時の退去手続き
本人が死亡した時には、身元保証人が身柄を引き取ります。
また、死亡時に必要な役所の手続きや、施設に入居していた場合には、退去の手続き、費用の精算などもおこないます。
このあたりは契約内容にもよってきますが、別途、死後事務委任契約書を作成することもあります。
なお、身元保証人は、家族や親族でなくても引き受けることができます。条件さえ満たせば友人や知人など、血縁関係がない人でも可能です。
しかし、身元保証人は、このように本人と社会との接点を代行し経済的な責任も負う、とても大切な役割があるため、気軽に頼むことは難しいのが現状です。
2.身元保証人がいない時はどうしたらいいか。
子供や周囲の人に迷惑をかけたくないと思ってはいるものの、身元保証人になってくれる方が見つからない人もたくさんいらっしゃいます。
そんな方のために、身元保証人の役割を担ってくれる身元保証サービスが増えています。
身元保証サービスの内容は様々ですが、主に次のような業務を提供しています。
(1)入院や施設入居時の身元保証
入居者の緊急時の対応や金銭的な保証など、病院や老人ホームを利用する際に保証人を立てることが求められます。
身元保証サービスでは、入院・入居時の事務手続きを行い、身元保証人となってくれます。
緊急時の連絡先にもなりますし、入院時に、希望する治療方針を伝えてくれたり、手術への同意なども行います。
(2)日常支援
定期的な連絡や訪問、買い物などへの同行、郵便物の管理、生活口座の管理などを行ってくれます。
財産管理委任契約書を別途作成する場合もあるかと思います。
(3)相談支援
身元保証サービスを行う業者の多くは、弁護士や司法書士など法律の専門家による支援も行っています。終活で必要な、遺言の作成や財産の生前贈与などの際に有用なアドバイスをもらうことができます。
(4)認知症時の後見人
認知症になってしまった場合は、法律上判断能力が完全ではないとみなされます。そのため、認知症発症後に契約などの重要なことをする場面では、本人に代わって意思決定をおこなう後見人を決めなければなりません。身元保証サービスの内容にもよりますが、予め、任意後見契約を公正証書で作成しておければ、任意後見人がその役割を担ってくれます。
(5)葬儀供養の手配
死後、退去の際の医療機関や施設への支払い、身柄の引き取り、葬儀や納骨先の確認などをおこないます。
死後事務委任契約書を別途作成する場合もあるかと思います。
(6)葬儀・納骨・死後事務の代行
死亡届の提出、年金受給手続きの停止、電気・ガス・水道の解約、医療費の精算などを行います。
死後事務委任契約書を別途作成する場合もあるかと思います。
会社によって身元保証サービスの内容は異なりますので、契約時に、利用するサービスの内容や費用をよく確認する必要があります。
もし、ご自分で判断できなければ第三者にも相談した上で、慎重に決めてください。
3.身元保証サービスの選び方と注意点
身元保証サービスは、まとまった費用が必要となるサービスです。
どんなサービスがあるのか、しっかりと選びたいですね。
ここでは、身元保証サービスの選び方や注意点について紹介しましょう。
(1)サービス内容をまず確認
身元保証サービスの会社は、年々増加しています。どの会社も他社と差別化を図る傾向にあり、サービスの内容や費用は会社によって大きく異なります。
認知症や重篤な病状での意思伝達、年金の手続き、葬儀や供養の手配など、さまざまな場面を想定してサービス内容をシミュレーションしてみると良いでしょう。
また、身元保証以外にもオプションとして、病院の付き添いや買い物など、日常生活をサポートしてくれるサービスもあります。
(2)財産管理を任せられるのか
多くの老人ホームや介護施設への入居では、高額な現金や貴重品の持ち込みが制限されています。
そのため、入居するタイミングで、ご自身の財産の管理を身元保証会社に委託する方も少なくありません。
具体的な財産の管理方法については、契約前に直接職員から話を聞く機会を設けても良いと思います。
万一、身元保証サービス会社が倒産した場合、費用が戻ってくる可能性が低いので、出来れば経営の安定性も調べておくと安心です。
(3)遺産の寄付を前提としていないか
契約者が亡くなった際に、管理していた財産の残りを身元保証会社に寄付する契約となっている会社もあります。
もちろんそのような選択肢もあると思いますが、あなたの財産ですから、死後どのように処分するかは、あなた自身で決められる会社が良いですね。
以上のとおり、身元保証サービスを選ぶ際のチェックポイントは少なくありません。
あなたの人生の一部を代行してくれるサービスですので、慎重に選びたいですよね。
4.一般社団法人終活協議会の「安心プラン」
いま人気の身元保証サービスに、終活協議会の「安心プラン」があります。
このプランには、①日常生活サービス、②入院時サービス、③連絡代行サービス、④介護時サービスが含まれていますので、入院時、介護時の身元保証人をお願いすることができます。
入院・施設入居に緊急連絡先の指定や身元保証や連帯保証を求められているが用意できない、できるか不安といった方にオススメのプランです。
その他に「万全プラン」「完璧プラン」もあります。
5.まとめ
身元保証の役割や身元保証人が見つけられない時のサービスについてまとめてみました。
一人暮らしの高齢者が増えている中で、身元保証サービスもどんどん増えています。
身近に頼れる方がいらっしゃらない場合には、まずは自分にどんなサービスが必要なのかを考え、各社のサービスを比較してみるとよいでしょう。
ただし、契約金が高い、年会費が高額、財産開示を頻繁に求めてくる、単発の契約のみしかない、など疑義に思われることがあったら、契約する前に一度冷静になって考え、必要に応じて専門家に相談していただきたいと思います。
以上をもって、今回のテーマである身元保証について終わりにしたいと思います。
最後まで読んでいただき、どうもありがとうございました!