終活の重要性
「終活はやらないとだめなの?」
終活について知っている方が増えてきたものの、終活の大切さや終活で得られるメリットについてよくわからないというお声を聞くようになりました。
あなたのまわりにも「終活を始めたものの、エンディングノートの途中で挫折した」という方も少なくないのではないでしょうか。
この記事では、終活の重要性について解説しています。
1.終活とは
終活とは、人生の晩年に向けておこなう活動のことです。
この言葉は、2012年の流行語大賞でトップテンに選出されて以来、一般的に使われるようになりました。
しかしここ数年、社会や環境のさまざまな変化により、ふたたび脚光を浴びています。
伸びる平均寿命
2021年の日本人の平均寿命は、男性が81.47歳、女性が87.57歳でした。
100歳以上の人口も86,000人以上と、健康な高齢者も増えています。
高齢者となってからも自分の人生を謳歌する人が増えるなか、終活を通して自分の晩年について考える人も増えています。
一方で、親の介護を経験するなかで、自分自身の晩年のあり方について考えるようになった方も少なくないでしょう。
尊重される個人の意志
少し前の日本では、人生の最後は家族に委ねるという意識が強くありました。
三代にわたって同居し子供の多かった時代には、高齢者の晩年に必要な介護や身の回りの世話は家族で分担してきました。
しかし現代では、核家族が一般的となり、社会的にも個人の意志が尊重される時代となっています。
2.終活は誰のため?
近年話題になることも増えている「終活」ですが、その重要性を「だれのためにおこなうのか」という点からみてみましょう。
あなたのこれからの人生のため
晩年という言葉は、「死に近づく」というイメージがあるかもしれません。
もちろん終活の中で、自分の理想とする葬儀の形やお墓のあり方について考えることも大切です。
しかし終活は、死の準備をおこなうだけではありません。
むしろ人生の晩年をどのように生きるかを前向きに考え、豊かな老後を実現するための取り組みなのです。
たとえば、これまで働き詰めでできなかったことに挑戦してみたり、気になっていた趣味に没頭したりすることも終活と言えます。
健康で楽しい毎日を過ごすために必要な資金について考えることも、終活の目的と言えるでしょう。
もちろん健康な晩年とは限りません。
あなたの晩年についての考え方を家族に伝えておくことで、介護や延命治療、葬儀など、希望する形でお願いすることができます。
ご自身の最期をどのように迎えるかを自分で決められることは、終活の大きなメリットです。
また、終活をすることで死に対する不安が解消されたと言う方も少なくありません。
自分の死は、あまり考えたくない話題かもしれませんが、終活によって自分自身の人生が整理され、不安が解消されていくのです。
残された家族のため
終活は、残された家族のためでもあります。
身近な方を亡くされた方はおわかりだと思いますが、葬儀や墓の手配だけでなく、遺産相続や遺品整理などさまざまな作業が必要となります。
これらの作業に必要な銀行口座情報や保険、財産一覧などは、亡くなった本人しか知らないことも多く、ご家族は煩雑な手続きに時間を取られます。
終活の中で、自分についての情報をエンディングノートや遺書にまとめておくことで、万一の場合でもご家族が確認しやすく、家族への負担を減らすことができるのです。
また、自分の身の回りのものは断捨離をしておくことで、家族の負担を減らすことができます。
人ひとりが持っているものは、思った以上に大量です。
長寿になった分、写真や想い出も増え、物なども増えていることでしょう。
ご家族のために、少しづつでも残したいものと不要なものを分別し、身の回りをスッキリさせておきましょう。
断捨離をする中で、ご家族に引き継いでいきたいものなどを生前贈与するきっかけにもなります。
家族間のトラブルを防止するため
自分の死後に、家族や親族が争ってしまうことを望んでいる人はいないでしょう。
「うちは、揉めるほどの遺産はないから」と思っている人もいらっしゃるかもしれません。
しかし、2016年の司法統計にある「家庭裁判所に持ち込まれた遺産分割事件のうち認容・調停成立件数」では、事件件数の33%が遺産額1000万円以下、5000万円以下になると75%も占めています。
遺産の少ない方のほうが、家族間でトラブルになりやすいとも言えるのです。
終活のなかで、財産の相続や分配の方法を決めておけば、揉め事をへらすことができます。
3.終活で得られるものとは
終活を始められた方は皆さん、「終活をはじめて良かった」とおっしゃいます。
その理由は、大きく2つありました。
これらの理由を見ても、終活が大切なことがわかると思います。
気持ちの整理ができる
日頃、自分が今までに生きてきたことについて、あらためて振り返ってみる機会はあまりないのではないでしょうか?
終活が、これまでの人生でやってきたことややり残してきたことを、振り返るきっかけになります。
やり残したことを今から始めてみるのか、周りの人たちに託すのかを決めることもできます。
幼いころからの記憶を書き出していくと、さまざまな人々との出会いや恩人への感謝が思い出されたり、人生の転機となった出来事に思いをはせたりすることでしょう。
そして、まだ元気なうちに「あの人に会っておきたい」「これだけはしておきたい」などという気持ちになるかもしれません。
今までの人生を振り返ることは、自分の気持ちと向き合うことでもあります。
終活で、あなたの気持ちが整理されていくのです。
老後を前向きに生きることができる
老後になにがあるのか、それはだれにもわかりません。
だからこそ、「自分が動けなくなったらしてほしいこと」「連絡を取ってほしい人」「葬儀のスタイル」など、あなたの気持ちを家族にしっかりと伝えておくことで、不安な気持ちを減らすことができます。
ご家族も、あなたの介護や葬儀の際に「ほんとうはどうして欲しかったのだろう」という葛藤をすることなく、気持ちよく決められることでしょう。
死後の話を家族にすることはつらいかもしれません。
そのため、「終活していること」を最初に伝えてから、家族に話すと良いでしょう。
ご自身の不安が解消されれば、あとは「今という時間を大切にしながら、精一杯生きる」ことができます。
老後を前向きに生きるという理想的な生活ができるのです。
4.マニュアルにはできない終活
人の数だけ人生があるように、終活の形も人それぞれです。
たくさんのお子さんやお孫さんに囲まれた老後もあれば、一人暮らしを謳歌する老後もあります。
体力や健康に不安を感じたり、自分の死を考えた時、だれもが不安を抱えるようになります。
そこで、ご自身が元気なうちに、終活を始めることをおすすめします。
しかし、マニュアル通りに終活をしても、自分の納得の行く形を残すことはできません。
終活は、ひとりひとりの人生や思いを大切にしながら、自分に合った準備をすることに意味があります。
自治体などで開催される終活セミナーに参加し、終活のヒントをもらうのもよいでしょう。
遺言書や遺産の生前贈与など、専門的でわかりづらいことは、司法書士や行政書士などの専門家に気軽に相談することで、作業がはかどりますね。
5.最後に
終活という言葉が広く知られるようになるとともに、終活の意義や効果についてお尋ねになる方が増えています。
そこで、この記事では、あなた自身、ご家族、親族間などの立場から終活の大切さを解説いたしました。
あなたも終活を通じて、明るく充実した老後を過ごしていきませんか。